らくだの涙

らくだの涙というドキュメンタリーを見た。

個人的にとても好きな流れの作品だった。

内容はゴビ砂漠に住む遊牧民の家族と家族が遊牧しているらくだが主人公。
初めて出産するらくだは難産で子どもを産むのに苦労する。その結果子どもを
受け入れなくなってしまった。

どうすれば、お母さんらくだが子どもを受け入れるようになるのか。
悩んだ末、家族は伝統的な儀式をすることを決断する。はたして母親のらくだは
子どもを育てるようになるのだろうか。
 
とても簡単なシナリオに見えるがスタッフがこの家族を見つけることに
とても苦労したに違いないと関心させられた。

遊牧民も現代化する社会の中で生活習慣や価値観の変化は著しい。しかし監督が
選んだ家族は4世代にわたる家族で、祖父、祖母の教えを引き継いでいる。
こういった人選ができるには十分の調査が必要だったのではないだろうか。

そして一番すごいと思ったことは、作品にナレーション・BGMがないこと。
現場の空気を大切に音をつけて演出していた。映像である出来事やメッセージを
伝えることは想像以上に難しいと最近は思う。

そういえばインタビューもなかった。にも関わらず多くの人が作者の伝えたい内容
が伝わるということはすばらしい。とりやすい映像を撮って、それを切り貼りした
後にナレーションでカバー。それをなんとなく雰囲気を出すために音楽をつける。
自分だったらこうなってしまう…

映像で伝えること。それを考えるとてもよい作品だった。